こないだの日曜日のはなし。
昼上がりの仕事の後、休みの旦那と恵比寿で合流し山種美術館へ。
「日本画の専門美術館」と謳っている山種美術館。
展覧会によっては、ちょっと作品が古典的すぎて退屈...という時もあるけど、今回の
「美しき日本の原風景」展は東山魁夷さん目当てで行った。
旦那も日本画が好き と言うだけあって、貴重な休みの日曜も日本画なら積極的に観に行きます。
↑この東山魁夷さんの絵は実物初めて観たけど、青緑の絶妙な使い方と言ったら....それはそれは吸い込まれそうな透明な綺麗な青と緑の世界で、ずーっと観ていたいと思うほど。
写真には決して写らない、岩絵の具と光の織りなす美しさです。
一筆一筆がとても丁寧なのも、静謐な世界を創っている東山さんの深い精神が表れてる。
その他にも初めて観る画家のものがあり、古典的ながらも独自に追求したと思われる技法や、色使い筆さばきから発せられる迫力があり見応えありました。
↑奥田元宋作 同じ自然を描いていながら、筆さばき、絵の具の使い方などからエネルギーに満ち満ちた迫力ある表現。 東山魁夷さんとはまた対照的な表現だけど荘厳で深い自然への想いを感じるような作品でした。
75歳で100号とか描いてるところがまたすごい....
その半分の大きさの50号描いてて「腰痛い」とか言ってる自分の根性のなさを改めて思い知る.....
写真はなかったけど川合玉堂の作品も、決して力強いというのでもなく、パッと見ると地味なのだけど、墨の使い方がすごく柔らかで滑らかで、しっとりと水気を多く含む日本の風景をとても美しく表現しているなあ と。
しとしとと降る雨を墨だけで描いている作品とか、独特の技法でかなり見入ってしまった。
白と黒だけの世界なのに、他のどんな絵の具で描くより瑞々しい雨だった。
↑横山操作 この人の描く風景は、他の人と同じく日本の風景でありながら荒涼とした風景で、自然を畏怖しつつ人間の小ささ、無力さを感じさせるような寂寥感が迫ってきて、心を捉えられてしまった。
どの作品も同じテーマでなのに作家の異なる精神性、自然への視点が顕著に現れていてとても面白かった。
今は日本画と言っても現代アートしてるのとか色々あるけど、こういう静かで深い感動をしみじみ味わうとなぜ古典的な(って言っても今回のはそこまで古典じゃないけど)日本画が好きなのかと考える。
何気ない風景の中に自然への畏怖や生命の美しさを描きながら、深い精神性をそこに織り込んであるところに感動するからだと思う。
日本画という難しい画材を使いこなすには時間も労力もお金もかかる。
強い精神が必要な仕事だと思う。精神力は日本画だけに限った事ではないけど。
決して派手にアピールするわけではない、ひたむきに静かに、でも力強い精神。
大小問わず自然の、季節の美しさ、畏怖、憧憬を表していることに加えて岩絵の具そのものの美しさもまた魅力。
その心の在りようが大きく言えば日本の、日本人の、日本文化の良さ なのではと思う。
もしくはそうあって欲しいという自分の願望の表れなのか。
と、この展示を観て色々思う今日この頃。
ま、古くさいって言われちゃえばそれまでだけど。
古くても好きなものは好きなのだ。